東京オリンピックたけなわです。
無観客もなんのその、テレビで見る分にはあまり関係ありませんね。
その日に気づいたオリンピック
今回のオリンピックはコロナ下にあって、特別な雰囲気の中で始まりました。
いつも日本ではオリンピックが近づくと何ヶ月も前から秒読み状態でオリンピック特集が組まれたり、メダルはいくつとか、取らぬ狸の皮算用を始めます。
今回はやや例外で、選手よりも、そもそもオリンピックが開催されるのか、開催するとなったら観客は入れるのか入れないのか、そんなことに話題が集中していて、唐突に始まった感じがします。
オリンピックが盛り上がらないドイツ
一方、ドイツのオリンピックは。いつも静かなものです。
日本のように開始前からのお祭り騒ぎはないので、スポーツファンでもない普通の人はオリンピックが始まってから気づきます。
ニュースを見て「開会式だったんだ!」
パッとつけたテレビにボート競技が写って「あれ、もう始まってる!」
ちなみに、日本では柔道から、ドイツではボートからオリンピックが始まる印象です。
やっぱりサッカーの国
サッカーのワールドカップや欧州カップのほうが、はるかに盛り上がります。
そのワールドカップ・欧州カップの大会にしてもサッカーファンでない私は2週間前に気づく程度ですが。
なぜ2週間前かというと、テレビ雑誌に試合結果を書き込むための予選リーグや決勝トーナメントの表が付録についてくるからです。
日本では新聞にかなり充実したテレビ欄があるので、テレビ雑誌は基本的に必要ありませんが、ドイツの新聞には親切な番組表がないのでテレビ雑誌を買う人が多いのです。
たいてい週刊ないし隔週刊。私は隔週刊を買っていたので2週間前に気づくわけです。
そして始まったら、ドイツは強いですから、日が進むほどに盛り上がる。前評判は悪くても最終的にはベスト8あたりには入り込む。
ところが前回のワールドカップでは予選リーグで敗退、東京オリンピックの直前に開催されたヨーロッパカップでもトーナメント一回戦で敗退と、このところ調子が悪いので、大ブーイングです。
もっともサッカードイツ代表への期待値は高いので、彼らは何をやっても文句を言われます。あるときなど8対0で勝ったのに、「あまりよくなかった」とコメントされていました。
サウジアラビア戦だったのですが、試合内容の〈良くない〉ドイツに大差で負けたサウジの立場はどうなるのでしょうか。
報道される競技が違う
ドイツで初めてオリンピックを見たとき思ったのは、
「国によって放映される競技が違うんだなあ……」
当然ですが自国選手が活躍する競技に多くの放映時間が割かれます。
ドイツの場合は夏季ならボート競技と馬術。
馬術なんか日本でほとんど見たことがなかったので、
「こんなもの、あったんだ……」(失礼!)
確かにドイツでは散歩道や山道で馬に乗った人とすれ違うことがあります。海でも↑のような光景を見ます。それにセレブでなくても趣味に乗馬を挙げる人がけっこういます。
また私はライン川沿いの町に住んでいたのですが、よくカヌーやボートを漕いでいる人を見かけました。
ドイツがボート競技と馬術に強いのは納得です。
ドイツのオリンピックは当然ドイツ人選手の活躍を中心に放映され、種目は日本が強い競技とだいぶズレているので日本選手はほとんど目に入りません。
メダルでも獲得すれば、その旨の報道はされているのでしょうが、競技自体が放映されない(あるいは私が見落とした)ので、気づかないことが多いです。
数年の時間差で日本選手の活躍を知る
だいぶ古い話になりますが、ロンドンオリンピック後に吉田沙保里選手と福原愛選手があるバラエティ番組に出演していました。
国民栄誉賞、でも誰?
吉田選手は「国民栄誉賞」と紹介されていました。
しかしドイツ在住だった私が吉田沙保里さんを見たのはそのときが初めてでした。
「国民栄誉賞なのだから金メダル? でも何の競技だろう?」
日本人向けの日本のテレビ番組だから、そんなことは誰もが知っていることとして詳しい紹介なしに番組は進んでいたのです。
番組半ばで話の文脈からレスリングで金メダルを取ったことがわかりました。
愛ちゃんの銀メダルに感動
福原愛選手は知っていました。といっても、卓球台から頭だけ出ていた小さな「愛ちゃん」のイメージが強かったので、「大きくなったね~」
愛ちゃんが卓球(団体)で銀メダルであったことも、そのとき初めて知りました。
愛ちゃんと言えば、小さかった頃のインタビューが印象に残っています。
記者 将来の夢は?
愛ちゃん う~ん(考えこむ)
記者 オリンピックかな?
愛ちゃん うん?(乗り出すようにして聞き返す)
記者 (聞こえなかったのかと、もう一度)オリンピック?
愛ちゃん おりんぴっくって、なあに?
(会場大爆笑)
オリンピックが何かも知らないような幼い頃から期待をかけられて、テレビCMに出演したり、バラエティー番組などにも引っ張りだこ。
「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人」となるのではと、他人事ながら気の毒に思って見ていました。
しかし、愛ちゃんは全国の期待に立派に応え、本当にオリンピックに出てメダルをとりました。当たり前のことではありません。心から「よかったね」思うと同時に、遅まきながら感動しました。
私がその番組を見たのは、実はユーチューブでして、ロンドン(2012年)どころかソチ(2014年冬季)もとっくに終わっていました。
当時、日本中が湧いたニュースだったと思いますが、数年のタイムラグを経て知ったのでした。
そのぐらい日本選手の活躍を知らずに過ごすことになるドイツでのオリンピック体験でした。
現東京オリンピックでは伊藤美誠選手が大活躍ですが、伊藤さんの童顔と愛ちゃんが重なって見えます。
ところで卓球のラケットにはバタフライ福原愛プロやニッタク伊藤美誠カーボンのように選手の名前が入ったラケットがあるんですね。
ドイツ人はオリンピックよりサッカー
メダル総合10位以内に入っているけれど……
冷戦時代は東ドイツが大量のメダルを取っていて、毎日東ドイツ国歌を聞かされたものですが、後に国家規模のドーピングによるものであったことがわかっています。ウワサされていましたが、当時はわからなかったのですね。
現在のドイツ連邦共和国、そこそこ活躍していて今回の東京オリンピック金銀銅メダル合計数のベスト10に入っています(8月2日現在)。
しかし、ドイツ人選手が活躍したからといって、人々があちこちで話題にするということもなく、イマイチ盛り上がりに欠ける感じ。
今はドイツ在住ではないので断定できませんが、このコロナ禍で普段よりもさらに関心が薄いのではないかと推測します。
しかも直前にドイツ西部で100名以上の死者を出す大水害がありました。70名以上が行方不明なので、最終的には死者数200名を超えるかもしれません。
ドイツではラインなどの大河川がときどき水かさを増し、浸水ほかの被害が出ることはありますが、ゆっくりと水位が上がってくるので、ふつうは物的被害はあっても人的被害はほとんど出ないのです。今回は小さな河川が氾濫し、十分な対策ができていなかったようです。
歓声でわかるドイツのゴール
オリンピックは(日本基準で考えると)あまり盛り上がらないドイツですが、サッカー・ワールドカップは自分に関心がなくても情報が入ってきます。
そしてドイツ戦があると、テレビをつけていなくても点数が入ったことがわかります。
外でミニ・パブリックビューイングをしているご家庭があったりして、歓声が聞こえてくるのです。
パブリックビューイングは和製?独製?
ちなみに「パブリックビューイング」はドイツと日本でしか通じない英語のようです。少なくともウィキペディアにはドイツ語と日本語しかありません。「English」もありますが、クリックすると別の単語が出てきます。
私はデングリッシュ(Denglisch:独製英語)だと思っていたのですが、ひょっとして和製英語でしょうか。ドイツではワールドカップ・ドイツ大会以来広がった現象です。もし日本・韓国大会のときにすでにパブリックビューイングがあったとすれば和製英語の可能性が高いと思っています。当時私は日本にいなかったし、友人知人に聞いても、もはや記憶が定かでない。実際のところ、どうだったんでしょうか?
カラフルなサッカーボール
ところで、最近のサッカーボールはカラフルですね。オリンピックではこんなの(↓)が使われています。
日の丸をイメージした白地に赤の特別カラーモデルなのだとか。
昔はサッカーボールといえば黒の五角形と白の六角形が混じり合うデザインに決まっていたように思いますが、今となってはレトロですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。