今回は、ないようで今もあるプロイセンについて。
プロイセンとは現在のドイツの礎となった国です。
詳しくは過去記事「ドイツとは(2)」「ドイツとは(3)」へどうぞ!
プロイセンはいつなくなった?
ドイツ帝国にもプロイセン王国はあった
統一戦争にプロイセンが勝利し、1871年にドイツ帝国が成立したとき、プロイセン王国がなくなったわけではありません。
プロイセンはその後もドイツ帝国を構成する一国であり続けました。
しかも人口・領土ともにドイツ帝国の5分の3をプロイセンが占めていました。
第一次世界大戦後はプロイセン州に
第一次世界大戦で負けた1918年、ドイツでは革命が起こり、皇帝や王たちは退位しました。
「ワイマール共和国」建設にあたっては、同じ程度の大きさの州からなる中央集権国家に作り直すという案もあったようですが、諸邦国の単位はほとんど変わらず、プロイセンも州として存続しました。
第二次世界大戦後にプロイセン解体
ところが第二次世界大戦後はプロイセンがナチスの元凶であるかのように受け取った連合国によってプロイセンは解体されます。
現在、プロイセンという単位は存在しません。
厳格で、きっちりした人のことを「プロイセン人」と呼んだりすることはありますが、国や地域としてのプロイセンはどこにもありません。
現代に残るプロイセン
ところが、よく探すとプロイセン、実はあるんです。
ドイツ代表のユニフォームは白地に黒線
たとえば、サッカードイツ代表のユニフォームをご存知ですか。
毎回、微妙にデザインがちがいますが、基調として白地に黒い線が入っています。
2022年はこんな感じ。
ふつう国別代表のユニフォームは、国旗をイメージさせる色合いにする国が多いです。
アルゼンチンなら水色に白の縦縞模様。
ブラジルのカナリア軍団もブラジル国旗の色をアレンジしたものです。
……まあ、そういう国もあります。
現代ドイツ国旗は黒・赤・金
ドイツに話を戻しますが、現代ドイツの国旗は黒・赤・金の三色旗です。
そう、実は金色。
この国旗に黒はありますが、白はありません。
黒と白はプロイセン色
それがプロイセンの色なのです。
プロイセンの国旗はこんな感じ:
さらにさかのぼってドイツ騎士団の紋章が白地に黒十字でした。
単頭の黒鷲が意味するもの
政府旗に単頭の黒鷲
現代ドイツ国旗のバリエーションである政府旗の真ん中には単頭の黒鷲がついています。
政府旗は政府機関が使います。
単頭の黒鷲もプロイセンの継承国家であることを陰に陽に示していると言えるでしょう。
憲兵隊の徽章はプロイセンの黒鷲徽章
さらに、下はドイツ連邦軍の憲兵隊徽章です。
真ん中はプロイセンの最高勲章である黒鷲徽章(下)のデザインを踏襲しています。
このようによく見ると、いろいろなところにプロイセンが今も健在なのでした。
プロイセンは解体しましたが、その分、ドイツ全部がプロイセンになってしまったような感じですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。