憲政史家の倉山満先生(関連記事はこちら)とマンガ家の大和田秀樹先生が対談することになり、同席してきました。
ライターの役得です。
アイキャッチ画像はボツ写真。「同調圧力」マスクはさすがに雑誌誌面に採用されませんでした。
大和田秀樹vs倉山満、池田勇人つながりのお二方
『機動戦士ガンダムさん』で有名な大和田秀樹先生ですが、数々の歴史マンガも描いていらっしゃいます。現在は『角栄に花束を』をヤングチャンピオンにて連載中。
でも、倉山先生も大和田先生も高度経済成長を実現した池田勇人元首相を高く評価していて、大和田先生は『疾風の勇人』(講談社、全7巻)
倉山先生は『嘘だらけの池田勇人』(扶桑社)
で「池田勇人はすごかった!」との思いを作品にしています。
倉山満先生の大和田先生と是非ともお話ししたいとの強い希望がかなって、今回の対談となったのでした。
池田勇人復権の書
『嘘だらけの池田勇人』の帯キャッチフレーズは「戦後最高の宰相」「日本人は池田勇人の遺産で生きている」
1960年代前半の総理大臣・池田勇人は業績からすれば、もっと世間的に認知されてしかるべき人です。
『疾風の勇人』も『嘘だらけの池田勇人』も池田勇人復権の書。
『疾風の勇人』はこれからというところで終わってしまいましたが『嘘だらけの池田勇人』は池田の死まで完結しています。新書一冊ものですから当たり前ですけど。
歴史学者も真っ青、大和田秀樹先生の博学
倉山先生も博識・博学な人間アーカイブですが、大和田先生もすごかった!
マニアックな倉山先生に、大和田先生はさらに乗せて返す。
見識と読書量が半端でない。
歴史マンガを描く方というのは、並の歴史学者より知っているし、また本質をとらえていらっしゃるのですね。
大和田先生は「ウソでいい」「ウソが描きたい」とおっしゃっていましたが、細かいことはどうでもいいという意味だと思います。
デフォルメでも何でもして読者に伝えることが重要!
『小説吉田学校』はお二方の大好物
大和田先生も倉山先生も、若くして戸川猪佐武の『小説吉田学校』を愛読されていたようです。小説ですから、かなりの部分がウソ。戸川氏自身が「はなから事実を残す気なんてない」と言い切っていたとか。
でも、当時の自民党政治のありようをよく伝える作品ですし、あまりにもおもしろすぎて、それを本当だと思ってしまった人々もいて「小説吉田学校史観」みたいなものがあるらしい。
そのため倉山先生はことあるごとに『小説吉田学校』のウソを訂正してまわらなければならないのでした。『嘘だらけの池田勇人』でも、『小説吉田学校』は出てきます。
映画版『小説吉田学校』もあります。森繁久彌の吉田茂はそっくり!
大和田先生の『疾風の勇人』に描かれる三木武吉は、まるでヤクザの親分のようですが、映画版『小説吉田学校』の若山富三郎のイメージだそうです。
大和田先生は歴史を学んでいない!?
意外なことに、大和田先生、学校では歴史を勉強しなかったそうです。大学は理系。理系の人によくあるパターンですが受験科目として社会は地理を選び、当然、高校でも地理を取る。すると科目としての歴史をまじめに勉強するのは中学校までということになります。
「それがよかったんですね」と倉山先生。歴史学界への怨念がこもります。
お二人の「歴史学」観が圧巻(対談後半)。
対談動画&対談掲載誌
学識あふれ、かつ、ユーモアたっぷりのお二人の対談をお楽しみください。
大和田先生の守備範囲の広さにご注目!
漫画家 大和田秀樹✕ 憲政史家 倉山満 特別対談(前編)
漫画家 大和田秀樹✕ 憲政史家 倉山満 特別対談 後編
「週刊SPA!」「日刊SPA!」に対談掲載
対談は、2021年10/5号(9月28日発売)の「週刊SPA!」
および「日刊SPA!」に掲載されています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。