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【ゴシックとは何か?】(3)ゴシック様式受難の時代:ルネサンスは微妙な反ゴシック

フィレンツェ大聖堂

ゴシックとは何か? シリーズ第3弾。

既存記事「ゴシックとは何か?」
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のつづきです。

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(主な参考文献:酒井健『ゴシックとは何か

 

ヨーロッパが中世から初期近代に入ると、ゴシックは受難の時代を迎えます。

ルネサンスは反ゴシック運動……かな?

反ゴシックとして立ち現れたのはルネサンスでした。ルネサンスは古代ギリシア・ローマを再評価した文芸復興と言われますが、北方蛮族の芸術ゴシックに対抗したイタリア地域の愛国運動の一面もあります。

もっともイタリア一帯には都市間のライバル意識もあって、一筋縄ではいかない複雑さがあります。

ゴシックのミラノに対抗したフィレンツェ

ルネサンスの発祥地・中心地はフィレンツェです。

同じイタリア半島でもミラノにはゴシック様式によるトゲトゲの大聖堂が建てられていました。

ミラノ大聖堂ミラノ大聖堂

ミラノとはライバル関係にあるフィレンツェ、

「ミラノがゴシックならウチは反ゴシックだ~」

というわけで、フィレンツェには丸屋根のサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂が建つわけです。

フィレンツェ大聖堂フィレンツェ大聖堂

ルネサンスの「反ゴシック」は微妙

古代ギリシア・ローマの文化を模範とし、

死より生、来世より現世、人間中心主義が花開いた~

のように言われるルネサンスですが、ことはそう単純でもなく、ラファエロなど、どう見てもゴシックを排除したというよりは、ゴシックを取り入れて新たな芸術を生み出したと言ったほうがいい。

半獣半人像などの「グロテスク」文様も、
「もともとローマのものだからいいんだ~」
とばかりに、さかんに用いています。
前記事「ゴシックとは何か?(2)」参照)

フィレンツェの大聖堂にしても、「晩期ゴシック建築および初期ルネサンス建築」などと書かれていることもあります。

ルネサンス芸術は、いわば折衷型の芸術様式で、ゴシックを完全に排除したわけではありませんでした。

参考文献

『ゴシックとは何か』酒井健著(講談社現代新書、2000年/ちくま学芸文庫、2006年)

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

(「ゴシックとは何か?(4)」につづく)