ライター部屋

【制作書籍】救国シンクタンク叢書『皇位継承問題』(総合教育出版)

【ライティングアシスタントチーム倉山工房・編集担当が語る制作書籍紹介】

令和5(2023)年7月30日に開催された救国シンクタンク第7回フォーラム「皇位継承問題」の書籍化、いよいよ発売(12月11日)!

「日本にとって、日本人にとって、皇室とはなにか」

「なぜ皇室が大切なのか」

そんな疑問に答える本です。

 

現在君臨する君主のなかで世界最長の家系をほこる日本の皇室ですが、皇族が減る一方の昨今、安定的な皇位継承を考えるべく、さまざまな案が出されてきました。

悠仁親王殿下がお生まれになり、皇位そのものについては、次世代までは問題ない……はずなのですが、いろいろと外野がうるさかったりします。

また、悠仁親王が皇位に就かれたとして、このままでは皇族がいなくなってしまうという問題がある。

皇位継承問題はこれまでもあったし、これからも起こる可能性があります。長い皇室の歴史をふまえて考えていかなければなりません。

皇室の伝統や皇位継承もめぐる昨今の問題にも触れながら、皇室への理解を深めてもらいたい。

そんな思いで開かれた救国シンクタンクの第7回フォーラム『皇位継承問題』が本になりました。

救国シンクタンク

救国シンクタンクは、日本救国に向けて多くの政策を提言・普及・実現しているシンクタンクです。

倉山満先生が理事長をつとめています。

『皇位継承問題』「開会の挨拶」より

われわれは結論ありきで「救国するための方策として、これが正解です。これをやりましょう」と声高に叫び、イデオロギーや政策をゴリ押しするシンクタンクではありません。何が達成されれば救国なのか、皆で議論しながら常に検証していこうと話し合い、日々、多くの議論を積み重ねているのです。

その中でも皇室は別格で、常に別枠の政策として扱ってきました。なぜならば、皇室は日本の歴史を象徴する存在なのですから。皇室を守り抜けなくて、何を守るのか、「救国」つまり「くにまもり」は、ここに尽きるからです。

令和四年、安定的な皇位継承のあり方を議論する政府の有識者会議最終報告書が提出されました。しかし、現実にはほとんど動いていません。そこで我々は一石を投じるべく、「皇位継承問題」をテーマとして、五人の有識者の方々をお招きし、第七回フォーラムを開催することとしました。

救国シンクタンク第七回フォーラムの書籍化

『皇位継承問題』「開会の挨拶」より

これまで、救国シンクタンクでは、「規制改革フォーラム」から始まり、「大国のハイブリッドストラグル」や「ウクライナとレジ袋」など、普段メディアやマスコミが必ずしも注目していないけれども、日本にとって本当に重要な論点について、さまざまな有識者の方々と共にフォーラムを実施して参りました。

そして、今回の第七回フォーラムは、まさに救国するための本丸とも言うべき「皇位継承問題」をテーマとしております。

究極の「くにまもり」、皇室問題に挑んでいるのが本書です。

第一部 有識者5人の講演

第一章「皇位継承問題とは何か」新田均先生(皇學館大學現代社会学部教授)

第二章「皇位継承問題と政治」榊原智先生(産経新聞社論説委員長)

第三章「後花園天皇と伏見宮家」今谷明先生(国際日本文化研究センター名誉教授)

第四章「憲法第14条と皇位継承問題 旧皇族の男系男子孫の皇籍取得は憲法第14条違反なのか」山本直道先生(弁護士)

第五章「秋篠宮家の現在と未来」髙清水有子先生(皇室評論家、日本文化興隆財団理事)

第二部 クロストーク

第二部は第一部でご登壇の先生方によるクロストークという形で、第一部の講演を深掘りしていきます。

なぜ皇室がだいじなのか

皇室および皇室をめぐる歴史は、日本という国をまとめる壮大な物語であって、これにかわる物語をこれから新たに作り出すことはできない、いったん失われてしまったら、取り戻すことのできない貴重な宝なのです。

これを語ってくださったのは新田均先生

新田均先生の著書

『「現人神」「国家神道」という幻想』(神社新報社)、『首相が靖国参拝してどこが悪い!! 』(PHP研究所)、『一刀両断 先生、もっと勉強しなさい! 』(国書刊行会)など皇室・神社関係の著書多数。

フォーラムの日に直接お会いする機会がありましたが、とても気さくな先生でした。

世界最強のフィクション「皇室」

新田先生のお話をうかがったとき、個人的には、ユヴァル・ノア・ハラリ『サピエンス全史』が脳裏をよぎりました。

サピエンス全史原書
【本のレビュー】人間はどこから来たのか? 『サピエンス全史』 想像力がサピエンスを地上の覇者にした!? 人類発展の謎と未来を哲学するイヌ科やネコ科はたくさんいるのに、なぜヒト科はホモ=サピエンス1種類しかいないのか。その謎は7年前に起こった認知革命にあった!...

ホモ=サピエンスがなぜ地上の覇者になったのは7万年前に起こった認知革命による。

他の動物およびヒト科になく、サピエンスだけがこのとき持つことになった能力は「想像力」。物語を紡ぎ出し、有力なフィクションによって大集団を統率することが可能になった。

という内容で、これを読んだときにも日本の皇室のことを思いました。

国旗
【本のレビュー】国家とは?『サピエンス全史』で考える! 限りなくフィクションでない日本の強み『サピエンス全史』によればフィクションが大集団をまとめるという。「国家」もたいていの国ではフィクションだが、日本は……。 そこに日本の強みがある!...

「フィクション」であっても、何でもいいわけではなく、やはり集団をまとめるには、説得力というものが必要です。

皇室の物語はいわば世界最強のフィクション。

明治維新のような、他の国であれば、国が壊れてしまうような改革も難なく(?)こなしてしまう日本安定の源は皇室にあるのではないでしょうか

神武天皇から1本の線でつながる正統

「正統(しょうとう)」とは?

新田先生はまた、「正統(しょうとう)」についても詳しく語ってくださいました。

北畠親房『神皇正統記(じんのうしょうとうき)』の名前は知られていますが、「正統(しょうとう)」の意味は、実は、あまり知られていないのではないでしょうか。

この「しょうとう」、実は皇室の歴史において、重要な意味を持ってきました。

簡単にまとめると父子継承でつながる系統のことです。

子に継承させることができなければ天皇になっても「しょうとう」にならない。

逆に子が天皇になれば、自分が天皇になっていなくても「しょうとう」となるのです。

さらに、詳しくは本書をぜひ。

巻末「正統図」

また、巻末には「正統図(しょうとうず)」があります。

皇室系図はあまたありますが、神武天皇から今上天皇まで、一本の線でつながる皇位継承図は、なかなかないのではないでしょうか。

この図だけでも、本書を手にとって見る価値あり、と自負しております。

伏見宮家の謎

歴史上、数多くの宮家が存在してきたけれど、皇位を継がないで5世代を減ると宮家ではなくなるのがふつうです。

ところが、伏見宮家だけは、例外的に認められてきました。

旧皇族と言われる方々もすべて、この伏見宮家の流れを汲む方々です。

そんな伏見宮家の謎を今回、今谷明先生が明らかにしてくださいました。

皇位継承問題・旧皇族の皇籍復帰を語るには、かかせない知識です。

今谷先生は、多くの著作で日本史の新たな境地を切り開いてこられた方です。

今谷明先生の著書

『室町の王権』(中公新書)、『武家と天皇』(岩波新書)、『現代語訳 神皇正統記』(新人物文庫)など歴史関係の著書多数。

実は高貴な生まれの一休さん

今谷先生のお話のなかでも、興味深かったのは一休さんでした。

アニメ『一休さん』でも有名なとんち坊主の一休宗純、実は天皇を父に持つ皇子さま。

のりあちゃん
のりあちゃん
へ~、意外!

後花園天皇の誕生にも関わっている、知られざる一休が本書には語られています。

メディアの秋篠宮家バッシングは大ウソ

週刊誌などに、あることないこと書かれて、バッシングを受けている秋篠宮家。

事実上、反論することのできない皇室の方々に、根拠のない誹謗中傷を浴びせる心無いメディアの姿勢はあきれるばかりです。

全部、大嘘です」とはっきり言い切ってくださったのは髙清水有子先生

高清水有子先生の著書

『悠仁さまへ―秋篠宮家に受け継がれる愛の系譜』(学研プラス)、『紀子さまの育児日記』(朝日出版社)、『美智子さまと清子さま』(ブックマン社)など皇室関係の著書多数。

今回の紅一点。

弁舌さわやかで、講演「秋篠宮家の現在と未来」では、会場を盛り上げてくださいました。

秋篠宮家の方々と直接お会いなさることも多い髙清水先生ならではのエピソードがたくさん。

少しでも本当のことを知ってもらいたい

そんな思いから講演活動などをされている髙清水先生のお言葉を本書でも感じていただきたく思います。

悠仁親王のご成長ぶりがうかがえるエピソードにあふれています。

皇位継承と政治

産経新聞社論説委員長・榊原智先生には第一部では「皇位継承問題と政治」と題して講演していただき、第二部のクロストークでも登壇者からの多くの質問にお答えくださいました。

「立皇嗣の礼」の意味や、政治家と皇室が遠くなっている弊害など、意外な盲点に気付かされるお話がたくさんありました。

のりあちゃん
のりあちゃん
「立皇嗣の礼」って何?

今上陛下御即位のときに秋篠宮殿下が「皇嗣」つまり皇位継承順位第1位であることを示す儀式です。

政治に詳しい榊原先生の言葉からは、情けない政治家へのもどかしさが伝わってきます。

皇位継承と法律

「旧皇族の男系男子孫の皇籍取得は憲法第14条違反なのか」についてお話しくださったのが、弁護士の山本直道先生です。

山本先生は、倉山満先生が主催する倉山塾にも属していて、倉山塾弁護士会で協力されています。

のりあちゃん
のりあちゃん
憲法第14条って何?

憲法第14条第1項

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

憲法第14条の問題に関しては倉山先生と山本先生の共同執筆で「旧皇族の男系男子孫の皇籍取得は憲法第14条違反ではない」というレポートを作成し、要路者に配布中とのこと。

のりあちゃん
のりあちゃん
で、何が問題なの?

「旧皇族家の方々の皇族復帰は門地による差別だ~」のようなことを言う人がいるらしいのです。

のりあちゃん
のりあちゃん
それはそうだけど、なんか変

そんなことを言ったら、皇室そのものが、最強の門地ですからね。

門地で決めなくてどうするんだ、というところです。

ふつう問題にならないようなことを問題にする人がいるようなので、それに対して法律論ではこうなるという議論をしてくださっています。

のりあちゃん
のりあちゃん
難しそう~

ちょっと入り組んだ話もありますが、ちょっと新鮮。

当たり前っぽいところが当たり前でない。

のりあちゃん
のりあちゃん
法律家が考えると、いろいろ違ってくるんだね

そこが興味深い。

私たち一般人は法律の条文の細かいところまで神経が行きませんが、法律とはこのように作るものかと「へ~」なところも。

「皇位継承」とは、また異なる視点からもおもしろい論考となっています。

皇室を支えていく救国シンクタンク

『皇位継承問題』閉会の挨拶より

メディアだけでなく、SNSにおいても皇室についてあれこれと言挙げし、批判をする意見を見ます。残念ながら言論人の中にも皇室のあり方について口汚く罵る方がいます。

そういうネガティブな議論に対して、我々救国シンクタンクは、皇室を支えていくのが国民の責務であるとの立場から政策提言を行っていくつもりです。

本書が皇室をめぐる議論の一助となれば幸いと存じます。

最後まで読んでくださってありがとうございました。