大学入試の季節がやってきました。
共通テストがはじまりました。
大学入試など、今は昔の物語ですが、一月になると思い出します。
受験当時のストレスは大きく、とくに最初の試験である共通一次はガチガチのブルブル。
共通一次の正式名称は「大学共通第1次学力試験」。1979~1989年に実施された。センター試験(1990~2020)、共通テスト(2021~)の前身。
その後、晴れて合格し大学生になっていても、一月がやってくると緊張感が走ったものでした。
数十年たった今ではニュースを見て「そういえば試験の季節だな」と思う程度になりました。
あの日の緊張もなつかしい思い出です。
しかし「共通テスト」で、いま思い出すのは試験当日よりもドイツでの珍事です。
就職のためにセンター試験の成績が必要!?
ドイツでは日本語教師をしていました。
大学では常勤だったり非常勤だったり。
ドイツの大学も就職は非常に厳しく、常勤は「2年契約延長不可」の人がほとんどで、期限のない形で雇われている講師は「語学」の分野では、ほとんどいませんでした。
さらに、いったん常勤として就職し2年の期限が切れると、二度と同じ大学では常勤になれないシステム。
これは州や大学にもよります。
ただし別形態の契約ならできるらしく、産休・育休に入る人の代理として2度めの「常勤」になることができました。
しか~し、そのときに妙な事件が!
なんとセンター試験の成績を提出するよう要求されたのです。
大学の成績も提出するのですが、高校卒業資格に関しても書類を求められたのです。
高校の卒業証明書はあります。問題は成績です。
ドイツでは高校卒業資格(アビトゥーア)=大学入学資格なので、ドイツ人ならアビトゥーアの成績が求められます。
日本人の場合は選択肢が3つありました。
- 高校の成績
- 大学入試センター試験の成績
- ?(3つめは私に当てはまるものではなかったので忘れました)
まずは高校に問い合わせました。これが一番簡単だと思ったのです。
すると、卒業後一定年数は保管しているけれども、その後は破棄され、私の場合は、成績データがもうないとのこと。
最終学歴およびその成績だけで十分だと、ふつう思いますよね?
日本の役所の対応に涙!
というわけで残るはセンター試験の成績しかない。
文科省にメールで問い合わせる
大学入試センターのHPを見ましたが、ここは入学試験を受ける人のためのページで、過去に受けた人に向けた項目は見つけられませんでした。
大学入試センターから返事が来た!
文科省にメールを送ると、数日で返事が来ました。
しかも送り主は文科省ではなく大学入試センターです。
思わず涙が出てきました。
日本にずっと住んでいたら驚かなかったと思いますが、ドイツに住んで数年、これはもはや当たり前のことではなかった!
返事が来たら親切
ドイツの役所に問い合わせても返事がこないこともある。
返事が来たら親切。
そして何か返ってきたとしても、自分が担当でない場合、内容はせいぜい「〇〇に問い合わせてください」と簡単な返事が届くだけです。
わざわざ該当部門に回してくれたりしない。
ドイツの役所あるあるー1ー
ドイツ(だけではないかもしれないけれど)でよくあるケースは
「〇〇に問い合わせてください」
と言われて〇〇に問い合わせると
「△△に問い合わせてください」
△△に問い合わせると
「✕✕に問い合わせてください」
とぐるぐる回って、もとの場所に戻ってきたりする。
彼らも意地悪でやっているわけではありません。
おそらく最初の役所か〇〇か△△か✕✕のどれかが正しい担当部署なのでしょう。
ただ自分たちの仕事を把握していない。
まして他の役所についてはもっとテキトー。
人まかせでいてはいけないのです。
そんなときは自分でしっかり調べ「いえ、あなたのところが担当のはずです」と主張するしかない。
「返事到着」に感無量
当時私のメールを受け取った文科省の人は、正しい担当部署である大学入試センターに回してくれて、大学入試センターの人がちゃんと返事を書いてくれた。
それだけのことが、どれほどうれしかったか。
今でも涙が出てきます。
試験の成績、取り寄せ完了!
ふたたび涙!
大学入試センターからの返事で次のことがわかりました。
- 試験の成績を取り寄せることが可能であること
- 試験の成績を取り寄せる方法
私が受験した頃は「共通一次試験」と呼ばれていましたが、そんな古いものでも、データがある!
手続きに必要な資料を取り寄せなければなりませんでしたが、指示どおりにすると本当に成績が届きました。
そこでまた涙!!!
ドイツの役所あるあるー2ー
ドイツの役所では、言われた書類を持っていっても
「これが足りない、あれが足りない」
と言われることがあります。
そうなると何往復かしなければなりません。
逆に
「これ、いらない」
の場合も。
「不要」の場合は、とりあえず一件落着ですが、あらかじめ正しい情報をくれれば、その不要な書類を手に入れる手間は省くことができたということです。
当たり前(?)のことに感謝
書かれてあるとおりの書類をそろえて提出し、目的のものを一発で手に入ることができた!
それだけで、もう涙涙涙!
当たり前じゃないっ!
なんだかんだ言われているけれど、日本の役所の文句は言えない。
上はともかく現場の方々は丁寧に仕事をされているのです。
ドイツの大学も変
ところで当時、共通一次を受ける人は国公立大学を志望する人だけでした。
私大に絞って受験する人は、そもそもこの試験を受けなかった。
すでに常勤および非常勤として何年も務めていた大学で、人物もわかっていて、話は決まっていたのに形式的な書類がそろわないために就職できなかったかもしれない。
しかも1度目に常勤になる際には、いらなかったんですよ。
私の前任者にしても、誰もそんなものを提出していない。
というわけで、日本の大学に入る目的以外にも共通テストの成績が必要な場合があるという話でした。
最後まで読んでくださってありがとうございました。