ドイツに住んでみて、ふとしたことから日本を再発見する瞬間がありました。
今回は日本にいるとピンとこないかもしれない日本のすごさについて。
日本が湾岸諸国に壊滅的な大打撃を与えた!?
ドイツのドキュメンタリー番組は日本の番組とは視点が違って興味深いほか、ときどきチラっと出てくる「日本」がおもしろい。
あるときUAE(アラブ首長国連邦)のルポを見ていました。
現在のペルシア湾岸地域は石油で潤っていますが、石油以前は、とある海産物が主要な収入源でした。
すると突然「悲劇は日本からやってきた」とのナレーション。
実は御木本(みきもと)さんが真珠の養殖に成功したのです!
魚の場合、養殖と天然とでは味が変わりますが、真珠は養殖だろうが天然だろうが同じ。食べたら違うのかもしれませんが、真珠は食べ物ではありませんからね。
というわけで天然の真珠の値が暴落してしまったのです。
UAEの湾岸地域一帯は天然真珠のモノカルチャー経済で成り立っていたので、悲惨なことになりました。
「そのトラウマがあるため、モノカルチャー経済はいけない、石油だけに頼っていてはいけないと今いろいろな事業を試みているのだ」というのが番組の流れ。
しかし、私としては日本からやってきた「悲劇」が強く印象に残りました。
いきなり話が飛躍しましたが、それもいいアイデアですね。
日本刀は東洋最強の武器!
独テレビ番組で東洋の武器比較
次もまたドイツのテレビ番組ですが、古い東洋の武器比較をしていました。
青竜刀やヌンチャク、サーベル、弓など様々な伝統的な武器を比較して、どれが一番強いか検証する番組で、その中に日本刀も含まれていました。
弓など特殊な気がしますが、使いやすさ、破壊力、到達距離など、それなりに基準を設けて、ある程度の説得力をもたせた比較をしていました。
そして、最終的に「最強の武器」に選ばれたのは、なんと日本刀でした。
ブルース・リーの映画で有名になったヌンチャクは派手ですが、破壊力はあまりなく、下手をすると自分の方に飛んできて扱いが非常に難しい武器と評価されていました。
確かにそう見えます。それに比べれば日本刀は「扱いやすい」とは言えるでしょう。
印象的だったは番組の中で日本刀がいかによく切れるかをデモンストレーションする映像でした。
刀を立てておいて拳銃の弾を打つと、弾丸がきれいに真っ二つ!
刃に当たった弾丸が割れるというのは比較的有名な実験なので、私も聞いたことがありましたが、改めて映像で見ると「ほお~」という感じ。
これには私もあまり納得がいかないまま番組は終わりました。
しかし、別の番組を見て、「やっぱり最強かも」と思いました。
古代ローマ軍の強さは隕鉄にあり!?
別の番組とは、古代ローマ軍の用いていた武器についてのドキュメンタリー。ドイツZDF(NHKのような公共放送局)で放映されたTerra Xです。
紀元前200~500年ぐらいにドイツに隕石が落ち(キームガウ・インパクト)、そこから採掘される鉄(隕鉄)は特別な強度を持ち、その鉄で作られる刀剣はたいへんに優れものだったとか。
ローマは隕鉄が出る地域の部族とは戦争をせず、友好関係を保ち、鉄・武器を輸入したため、ローマ軍は強かったのだという話。
問題のローマの武器を刀剣マニアに見せたところ、そのセリフがいい。
「見事だ。これに匹敵する刀剣は15世紀の日本刀ぐらいですね」
そうなんです。日本刀がすごいというべきか、ローマの刀剣がすごかったというべきか。
もっとも、キームガウ・インパクト自体が専門家からは眉唾ものとされ、番組は疑似科学的なファンタジーだとする意見もありますので、ローマの武器と隕鉄の関係は100%信じないほうがいいかもしれません。
ただ、ここで注目したいのは、こういう文脈で「15世紀の日本刀」が出てくることです。
15世紀といえば戦国時代。武器づくりが盛んだった時代です。
ローマの刀剣がどれほどのものか知りませんが、刀剣の素晴らしさを表現するのに「日本刀」が引き合いに出される。つまり、刀剣に詳しい人々の間では日本刀が最高級品の代名詞になっているということです。
どこの国にも刀剣類はありますから、日本刀もそのひとつぐらいに思っていましたが、世界的にはどうも特別なものらしい。
そこまで高く評価されているものとは、驚きです。
外国に出て、はじめて気づく日本の職人さんのすごさでした。
明治の西洋人が驚いた「自在」
最後は博物館での発見です。
「自在置物」を知っていますか? 金属製の置物で関節部を動かすことができます。
江戸時代に入ると戦争がなくなり平和な世の中となりました。甲冑師らは兜や鎧が売れませんから、工芸品を作り始めました。それが自在置物です。
日本より欧米での評価が高いとか。
たしかに初めて私が自在置物を見たのは日本ではなくドイツの博物館でした。エビが精巧に鉄で再現されていて、大変に驚きました。
そのときは当の展示物が、ある芸術家(職人)がたまたま作った特別なものなのだと思いましたが、調べてみると日本の工芸品の一分野であることを知りました。
伝統的な日本のものづくりに明治の西洋人が驚いて買い求め持ち帰ったものが展示されていたのです。
伝統工芸に親しんでいない現代日本人が見ると、明治の西洋人並に驚けます。
実際に日本でも見直されているようで2016年「東京藝術大学大学美術館 驚きの明治工藝」として展示されました。
動画の50秒あたりから可動例があります。動きの見事さに注目!
今でも『風の谷のナウシカ』の王蟲などが「自在置物」として販売されています。ただし樹脂製。
伝統が消えずに現代的に蘇っているのはいいことですね。
世界最古の土器は日本で発見されているといいますし、ものづくりに関しては日本は古来、世界に冠たる国と言っていいでしょう。
日本のすぐれた工芸品をネット販売しているお店に《藤巻百貨店》日本のいいもの厳選があります。のぞいてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでくださってありがとうございました。