「近代史って、よくわからない」と思いませんか?
今回は私が倉山工房でアシスタントを担当した本の中から、倉山満先生の著書『桂太郎』をご紹介します。
最高の実績と最長の政権なのに影が薄い首相・桂太郎
違います。
あながち間違っていません。
昔の総理大臣です。
戦前の総理大臣なんて、パッと名前が挙がるのは初代伊藤博文ぐらいですよね。
歴史通には、桂太郎は「ニコポン政治家」として知られています。ニコニコしながらポンと肩を叩いて人を籠絡する。愛想はいいが中身はないような言われ方。一般的に桂太郎の評価はあまり高くありません。
しかし、未曾有の国難である日露戦争に勝った総理大臣です。戦前最長の政権でもあります。昨年、安倍晋三政権に抜かれるまで、日本憲政史上の最長記録でした。
桂太郎がいかに日露戦争を戦ったのか。意外と知られていない隠れた英雄の実像に迫ります。
倉山満『桂太郎 日本政治史上、最高の総理大臣』祥伝社新書、2020年
本書は桂太郎を「日本政治史上、最高の総理大臣」と紹介しています。
そして、本書出版からまもなく祥伝社新書編集部の飯島英雄氏から嬉しいお知らせをいただきました。桂太郎の子孫の方が本書を仏壇に供えてくださったそうです。倉山満先生いわく「著者冥利につきます。」
『桂太郎』紹介動画
以下は、『桂太郎』の紹介動画です。ご覧いただけると、より桂太郎とその同時代人が身近に感じられることでしょう。
なお、若き日の桂太郎はイケメンです。育ちの良さそうな、おぼっちゃま風。晩年になっても童顔でかわいい。
勝ちに学ぶことも大切
『世界一わかりやすい日本憲政史 明治自由民権激闘編』では主に国内のゴタゴタを描きました。今と違って貧しかった日本、ちょっとしたことでも暴動が起こりかねない不安定な状況でした。
『桂太郎』では桂太郎および長州閥、つまり為政者側の視点で国内を描くとともに、国際関係にも紙面を多く割いています。
思うに、桂太郎が一般的に知られていないのは、まさに勝った戦争の首相だからではないでしょうか。
日露以前に日清戦争にも勝ちましたが、そのときの総理大臣が誰だったか、知っている人も意外と少ない。
実は、伊藤博文です。
伊藤博文自体は初代総理大臣として、かつての千円札の顔として、有名なのですが、日清戦争のときの総理大臣だったと言われても「へ~」の人が多い。やはり、勝った戦争だからです。
逆に負けた戦争の首相・東条英機を知らない人はいない。
負け戦の反省はもちろん必要です。しかし勝ち戦から学ぶことも大事です。
大国ロシアを相手に日本はこれ以上はない戦いぶりを見せました。
ひとつしくじっても負ける。
状況は、第二次世界大戦のときよりもはるかに悪かった。それなのに、大方の予想を裏切って、見事に完勝をおさめました。
偶然ではありません。根性論でもありません。日本は文字通り最善をつくして勝ったのです。明治にはそれができた。しかし、大正・昭和に入るとできなくなっていく。それはなぜか。
答えの一部でもありますが、今に至る政治慣行・政治風土をつくったとも言えるのが原敬です。『史上最強の平民宰相 原敬という怪物の正体』も合わせてお読みいただけると幸いと存じます。

また、桂太郎以前の明治史については倉山満『世界一わかりやすい日本憲政史』がオススメです!

記事を最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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