気分をリフレッシュしてくれる香りをお探しですか?
こんにちは。香りのブログまぐのりあです。今回は男女を問わず愛されているアニックグタールのオーダドリアン(Annick Goutal, Eau d’Hadrien)について。
柑橘系の王様アニックグタール オーダドリアン
オーダドリアンはユニセックス香水です。
アニックグタールの香水は、男性用は四角い瓶、女性用は丸い中央の膨らんだ瓶(ビール樽をスマートにしたような形)に入っているのですが、オーダドリアンは両方あります(した)。最近はユニセックスボトルという両者を折衷したような丸みを帯びた角瓶(?)も出ているようです。
オードパルファム(EDP)とオードトワレ(EDT)がありますが、正直なところあまり変わらない感じがします。

レモン、グレープフルーツ、シダー、サイプレス
納得の香料リスト。まさにレモン、まさにグレープフルーツです。柑橘系の王様。さっぱりしていて後くされがありません。
逆に言えば、(柑橘系の常ですが)あまり持続しない香りです。ずっと香らせたいときには不向きでしょう。同じ香りをいつまでもつけていたくない場合や、気つけ薬として用いるには最高。
オーデコロン4711とも共通するものがあります。4711を上品にしたような感じ。4711が下品というわけではありませんが、あれは生のまま。たとえるなら4711は刺身やサラダのような素材を生かした料理。オーダドリアンはピラフやグラタンのような煮炊きして火を通した料理。

オーダドリアン(Eau d’Hadrien)=ハドリアヌスの水
オーダドリアンの「(ア)ドリアン」は古代ローマの皇帝ハドリアヌスのことです。ハドリアヌス帝(在位117~138年)といえば、世界史で習う五賢帝(ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニウス=ピウス、マルクス=アウレリウス=アントニヌス)の真ん中の人です。ローマ帝国内をあちこち巡回し、帝国統治を固めます。ブリタニア(現在のイギリス)にはハドリアンズウオール(ハドリアヌスの壁)を築き、今でも遺跡が残っています。大まかに言って、壁の向こう(北側)がスコットランド、手前(南側)がイングランドです。

フランス人の間では、ローマ皇帝のなかでもハドリアヌス帝の人気が特に高いそうです。マルグリット・ユルスナルによる歴史小説『ハドリアヌス帝の回想』が高名なためだとか(参考:塩野七生『ローマ人の物語 賢帝の世紀』新潮文庫版第25巻)。香水オーダドリアンもフランス人のハドリアヌス好きという背景があってつけられた名称でしょう。
日本でたとえるなら、司馬遼太郎『竜馬がゆく』が坂本龍馬のイメージを決め、龍馬ファンが増えたようなもの? 小説の威力は恐ろしい。でも、龍馬の名前がついた香水って、聞いたことありませんね。Ryomaとか、あったらおもしろそうですけど。
風呂上がりにオーダドリアン
しかし、なぜこれがハドリアヌスの水なのかは謎です。ハドリアヌス帝がオレンジやマンダリンが好きだったという記録でもあるのでしょうか。「誰々をイメージして作られた香水」とは、ときどき聞きますが、あまりピンとこない場合が多いものです。
そういえばヤマザキマリ『テルマエロマエ』にもハドリアヌス帝が出てきますね。お風呂を作る皇帝でした。あのマンガが、どこまで史実を反映しているのかわかりませんが、オーダドリアン、お風呂上りには最適です。入浴後のワンプッシュで爽快感が増します。
似た香り: ペンハリガン リリーオブザヴァレー
オーダドリアンを通販で購入したとき、試供品としてペンハリガンのリリーオブザヴァレー(Penhaligon Lily of the Valley)も届きました。
「このお店、わかってるな~」

売り出し中のサンプルをランダムに送ってこないで、「オーダドリアンが好きな人はリリーオブザヴァレーも好きに違いない」と、ちゃんと考えて送っているようです。系統は似ていますが、ザ・柑橘系感は薄れ、名前がスズラン(lily of the valley)であるようにフローラルに寄った香りとなっています。
なお、
「香りをまといたいけれど、すぐに飽きてしまう」
「ボトルを使い切らない」
「香水は、まず試してみないと……」
という方には、COLORIA 香りの定期便をお勧めいたします。
お好みのフレグランスを選んで少量だけ送ってもらうことができます。

最後まで記事をお読みくださり、ありがとうございました。